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忘れないうちに~Ⅴ *暖かい手* [∞]

「はい、こちらにお入りください」と宇宙人
何枚目かの大きな扉の前、やさしい声だったと思う。

どのくらいの広さなんだろう
左の壁にはシャウカステン…いや、モニタだったのか、CTとかMRIの情報が映って見えた。
光源はそれだけ、みどりの部屋よりずっと暗い。

「おはようございます~」明るい声の挨拶を受けた。
「おはようございます、よろしくお願いします」と笑顔で応える。

中央にあるベットに寝るように言われた。
「ほいな」って感じでごろんと寝る。
寝たまま光源の方を見た、背の高いシルエット…あ、お気にの主治医。
その隣には…男性…ドクターかな?

「気分はどうですか?」といつもの声で主治医
「いつも通りです」とたぶん答えたんだろうが、舞い上がり気味で記憶がない。

オペに関わる麻酔医、看護師がひとりひとり名前を言って挨拶をしてくれた、
看護師の女性は、手を握って「大丈夫、心配いりませんからね」と。
大きくて厚みがあって、とても暖かい手だった。
心臓の鼓動がゆっくりになったような気がした、
心配、恐れ…そんなものは感じていないと思っていたけど、
そうでもなかったのかもしれない。
ほんと、泣きそうなくらい懐かしく暖かい手だった。








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